窓の月
2012.03.10
これは店の前に植えてある白椿の銘です。五年前に亡くなった母が大事にしていたもので、郊外の店だったころの庭にあったものです。
街中に移転する際、どうしても連れてきたかったのです。今はきものサロン逸美のシンボルになっています。例年にない寒さのせいか、今年はいま見ごろを迎えています。白椿は寒さの厳しい時期や雨に濡れるとはなびらが茶褐色になってしまいますが、ここにきてやっと和菓子のようにポッテリと開花しはじめました。
街中の喧騒の中でも、そっと、美に心を傾ける人だけに響く看板のつもりです。案の定、あるお客様が「逸美の入口には見えない門番がいて、素敵な人しか入れないみたいね。お会いするお客様がみんな素敵だもの…」と言ってくださいました。
着物と花が大好きだった母が、そっと見守ってくれているような気がしています。